週末、セネカという哲学者が友人に宛てた書簡集をななめ読みしていたら、ちょっとおもしろかったのです。

みじかい手紙1通につき1つのテーマが書かれており、このようなフォーマットになっています。

「ルキリウスこんにちは。セネカです。
(その日のテーマについて思ったこと、勝手な助言やエピソード、ライフハックなどを書く)
ではさようなら。」

これって…メールマガジン? 手紙に書いているテーマも、そのまま検索キーワードなのでは?

セネカは紀元前1年~4年ごろローマ帝国のエリート家庭に生まれ、60代半ば~70歳くらいで死亡した哲学者。

生まれはスペインの(といっても当時はローマ帝国の属州の州都)コルドバで、子どもの頃にローマに家族で引っ越し。哲学を学び、20代の初めから、うつのためエジプトの叔母の家で10年くらい療養。ローマに帰った後は、

元老院の議員として活躍 →反逆の罪で処刑されそうに →持ち直す →陰謀に巻き込まれコルシカ島へ追放され →また復帰 →皇帝ネロの家庭教師を経て助言役となり権力を得る →引退して静かな著作生活(ルキリウスへの手紙はこの時期に書いた) →皇帝暗殺を共謀したとして財産没収 →自殺を命じられる。

ふーやれ。手紙は124通あります。おもしろいので手紙のタイトル(と、ひとことコメント)をいくつかご紹介します。

1. 時間を節約することについて(決定権をとりもどす、先延ばし、時間の使いみちを把握していれば無駄も有効)

2. 乱読について(何を読むか)

3. 本当の友情と偽の友情

7. グループに属することについて(組織とのつきあい方、染まらない方法)

10. ひとりでいることについて(自分を信頼すること、ひとりの時も必ず誰か/何かがいっしょにいてくれること)

11. 赤面症について(人前で話すとき、膝がヘナヘナ歯がガチガチ唇ブルブルなどはどうにかできるのか)

12. 老いについて(コツさえわかれば年を取るのは悪くない、果物は腐る前が最も美味であるし)

13. 根拠のない恐れ(自分の心の声を聞いて、自分の頭で考える)

15. 筋力と脳力(それぞれをきたえるエキササイズ)

28. 旅に出れば日々の不満を解決できるのか(旅行をしても自分自身は変わらない)

46. ルキリアスの新刊について(献本してもらった新刊の書評 ★★★★★)

55. ヴァイタ邸を見てきた(海と湖にはさまれたビーチリゾートで隠遁生活をしていた大富豪に思いを馳せる)

2000年前の白人のおじさんがあれこれ書いていたことが、いまのインターネット人の悩みと関心事に重なることに、少々しみじみ。

こういうことって、ふだんから日本や世界の古典を読んでいる方はいつも思っていることでしょうけれど、読んでいないわたしには新鮮です。

もっとご紹介したいところですが、時間切れですし、いくら自分が楽しいからってキリがないので!ここまでに。

 

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セネカはこの人です↑[Image source:メトロポリタン美術館パブリックドメインコレクション ピーター・ポール・ルーベンス Bust of Pseudo Seneca]

 

本日のスペシャル

久しぶりにメトロポリタン美術館のパブリックドメインコレクションを見に行ったので、すてきなものを。

1860年ごろに作られた、ギリシャ十字のブローチです。エトルリアや古代ローマ、ビザンチン美術にインスパイアされたデザイン。はーーー。端正でみとれる。ほんとみとれる。

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裏はこのように。19世紀なかばの遺跡発掘(実際には盗掘)ブームでこういうデザインがトレンドになったのだろうな…(と夢想)

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[上の2枚のImage source:メトロポリタン美術館パブリックドメインコレクション Brooch with Greek letters

 

同じ会社がつくったブローチで、モチーフも同じギリシャ十字。じーーーーっ。

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[Image source:メトロポリタン美術館パブリックドメインコレクション Brooch with Greek letters

 

1日1新:大なす(計測したら64cmあった。味はふつうのと同じくおいしかったです)
1日1冊:ルキリウスへの手紙(日本語版は「ルキリウスへの手紙/モラル通信」)