フリーランスや個人事業で、無形のサービス製品を(特に)ひとりで提供している方には馴染みのある話題かもしれません。

友達がやってる天然酵母パンのお店に寄ったとします。棚からパンを手づかみで取ってその場でむしゃむしゃ食べたり、トレイふたつに山盛りのパンを乗せて「友達価格ね」と100円玉ひとつ渡したりしないと思うのです。(たいていの人は)

きまった値段のお金と消費税を払ってふつうに買うと思うのです。

商品がサービスだと、それをやろうとする人がいます。

パーティーで士業の人をつかまえて強引にアドバイスを引き出そうとするのは、売り場のまんなかで天然酵母クロワッサンを手づかみでむしゃむしゃいくようなもの。

むかし仕事帰りの親友とお茶をしたら、友人の同僚がついてきました。3人たのしく話していたら
「僕たちもう友達だから1万円で」とPowerPointを印刷したものを渡されました。

4,000円分の山盛りパンを友達価格100円で買おうとしています。(わたしはもちろんスルーし、その同僚はあとから友人にしばかれていた 笑)

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わたしも相談業務と翻訳を長くやってきたので経験があります。ただ働きのオファー(?)を受けると、心が傷つくのです。がっかりします。

ときどき飲み会やSNSでクリエイターの方や士業の方が大怒りしているのは、心が傷ついているからだとわたしは思うのです。

(軽く見られているのではないか・・)
(プロとして扱われていないのではないか・・)
(仕事がヘタだと思われているのではないか・・)

悲しくなりますよね。

わたしはそういう話をたいてい黙って聞いています。でも今日は、つらつらと書きたい気持ちになりました。

あなたの性格のせいでも仕事がヘタだからでもありません。100%相手の都合です。

理由はいろいろだと思います。

・なめてる
・困窮している
・予算がない
・ダメもとで言ってみた
・何も考えてない
・モノ派だからサービスにお金がかかるのはおかしいと考える
・愛されたい
・愛されていることを感じたい
・愛されていることを周囲に知らしめたい

興味深いのでいくつか挙げましたが、理由なんてまあどうでもいいです。そもそも人が何を考えているかなんて、わかりません。

ところで。誰かがタダで自分のために重要な仕事をしてくれたら、人は奴隷じまんがしたくなります。

自分にはこんなことを無料でしてくれる人がいる。自分がたのめば無理してもやってくれるほど愛されている*。そんな人が自分には居るのだ。

*注:恋愛の愛ではなく、「愛されたい」なんて思っていることがバレたら恥ずかしくて死にそうになるくらい恥ずかしい、人間としてのベーシックな欲求のほうの愛です。(きゃー)

人は生きてる限り、孤独です。愛されたいのはしかたないです。わたしだってそりゃぜひ愛されたいと思って生きてます。

だからといって、愛されてる実感を得るために、パン屋に入って会計をせずに棚のあんぱんをバッグに入れたりしません。(たいていは)

とにかく!奴隷じまんをされては困ります。うちの奴隷を今度タダでそっちにまわそうか?と奴隷としての評判が広がってしまうではないか。

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これはちょっとした観察なのですが、「ヘタでもいいから、品質は気にしないからとにかく無料でやって」という申し入れの話は、いちども聞いたことがありません。

人の話でもそうですし(ここ何十年けっこう大勢の方の話を聞いている)、自分でもいちども経験したことはないです。

「とりあえずやってくれさえすればいいから」なんて言って気を悪くされて、無料でやってもらえないと困るから、という理由でそういうことを言わないのではなく、

むしろただ働きオファーって、○○さんにやってもらいたいから、でも○○さんの料金は払えない・払いたくないから、という背景が多い印象。

品質は特にすごくなくてもいいし、まあやってくれれば誰でもいい、という考えのお客は、お金をさくっと払います。不思議ですか?

わたしもヘンだな~と思っていました。でもよく考えるとぜんぜん不思議じゃないんです。こだわりのないお客は価格帯での選択肢の幅が広いし、そもそもこだわりがないからさくっと決めて、さくっと払うのです。だからすぐ決まる。

成果物の品質は担保したい、ヘンな人はイヤ、ヘタな人もイヤ、自分のやり方を認めてくれる人のサービスを受けたい。そういう人を探すのがめんどくさいし、探すことにもお金を出したくない。

こういうことを考えているお客は、自分が欲しいレベルの人を雇うと予算におさまらない可能性が高いのかも。

それで○○さんがいい、となるともう一択で、価格は決まってしまっているのです。でもその価格はイヤ。しかも(恋愛じゃない意味で)愛を感じたい。

「お、値段以上」を求めるから、「無料で」になってしまう。

直接的にでも婉曲にでも、あなたにサービスの無償提供をさせようと試みる人は、あなたのサービスにこだわりがあったり、あなたを信頼していたり、あなた以外の人にたのむのはイヤ(探すのめんどくさいし時間ないし)、なのではないか。という気がします。

ただ働きオファーを受ける理由にはまったくなりませんが、ヒューマン・ネイチャーっておもしろいです・・。

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あなたがただ働きをしないからといって

「友達だと思っていたのに。(ただでやってくれないなんて)お金めあてで私と/オレとつきあっていたのか」

と憤慨している人は、無料めあてであなたとつきあっていたのです。

もともとあなたから「あわよくばただで」欲しいものがあったのに、手に入らないから怒っているのです。それこそお金めあてであなたとつきあっていたので、気にしなくていいです。

なんでもそうですが、無料サービスって無料ではありません。かならずどこかで誰かが負担しているのです。

わたしの代わりにどこの誰が負担してくれているのだろう。それはなぜ。わたしはどうすれば。そういうことをわたしは意識していたいです。

 

本日のスペシャル

1日1新:新しい寝具
連休中のゲストがひとり増えたので、アメニティ向上に励んでいます。フルタイムで住んでる自分がいちばん役得。

1日1冊:杉原里美「掃除で心は磨けるのか」、David Sedaris「When You Are Engulfed In Flames」、アストリッド・リンドグレーン「ピッピ 船に乗る」続き

香りがする方向についていったら咲いてた人たち↓かわいい。

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