最近わたしが読みたい&読んでる途中の日記本を5つ、ご紹介します。

■高橋和彦「完全現代語訳 樋口一葉日記」

わたしが大好きな日記本。現代語訳というのが重要で、これならすいすい読めます。

明治ひとけた生まれの樋口一葉(本名なつ)は、24歳で亡くなる前の数年間いそがしかった。その頃の日記です。

執筆活動以外にも、起業に投機にアルバイト、ぼんやりした師匠との恋愛にイライラしたり、家族サービスも休めない。

内面生活がゆたかで、人が好きで、いちいち傷ついたり憤慨したりする心の様子に引き込まれます。(とか言ってますが、こういうことを樋口一葉が書いているからすごいわけです)

日記を書いている当時のなつさん(と勝手に呼んでいる)は、母と妹の3人かぞく。

かぞくの誰かが、さあ寄席にいきましょう、うなぎが食べたい、お花を見に行きたい、と言えば、みんなで布団や着物なんかをかついで質屋にいって、質入れして現金をつくり、寄席に行くのです。

現代語訳が出た直後にはじめて読んだあとは、何年かにいちど図書館で借りてはちょっとだけ読むと、すぐに返却日が来てしまうパターンです。こういう本は手元にあったほうがいいですよね。。

 

■ヤコポ・ダ・ポントルモ(訳:宮下孝晴)「ルネサンスの画家ポントルモの日記」

1550年代のフィレンツェ在住、すごく売れているというわけではないけれど、すごくヘンな絵を描いているのでメディチ家にもいちもく置かれていたポントルモの、ほぼ地味なごはん日記です。

買ってきて食べたもの(おいしそう)、友人ブロンズィーノと食べたもの(おいしそう)、お腹の状態、仕事のプロジェクトについても少々。

ポントルモはひとりで仕事をするのが好きなので、工房はないし弟子もいません。友達はひとりいる。

友人ブロンズィーノはふつうに魅力的な絵を描いて、弟子たちとも仲良しで、顧客ともうまくやっていけて、いろいろ安定してる。

ブロンズィーノは若いときにポントルモに呼ばれ、仕事を手伝いました。どの部分をブロンズィーノが描いたのかわからないくらい、ポントルモの作風に合わせてあげていたそうです。人格いいな。

ポントルモにもどります。もしもあなたが慢性膵炎もちならば、日記を読みすすめるうちに「この人もしかして、すいえん?」とお思いになるかもしれません。(わたしは思いました)

誰だったかは失念しましたが、ポントルモが腹痛で苦しんでいるときに、その誰かがポントルモを置いて出かけてしまった。

『このことは忘れない』

と恨みがましくひとこと、書いていたのが印象に残っています。こういうツイートときどき見るなあ。苦しんでるひとに不謹慎だけど、ちょっと微笑ましい。生きる力みたいなものを感じる。

 

■ラングストン・ヒューズ(訳:木島始訳)「自伝 1 ぼくは多くの河を知っている」と「自伝2 きみは自由になりたくないか?」

第二次世界大戦がはじまる少し前、1930年代に旅をしまくったアフリカ系アメリカ人の詩人の日記です。

ハバナ、マイアミ、サンフランシスコ。ニューヨークからブレーメン、ベルリン、ヘルシンキを経てモスクワへ。

ウズベキスタンをみて、またモスクワからシベリア鉄道でウラジオストクへ出て、上海、東京。船でサンフランシスコに戻る。その後はスペインへ。

ラングストン・ヒューズってすごく気が合うところがあって(と勝手に思っている)、ひとりなんだけど、訪れた場所ではもれなく、メインストリームからちょっと外れた人たちと会って話したりしているんです。

ウズベキスタンのユダヤ系コミュニティとか、東京の築地小劇場とか。

旅先での体験を、いちいちラングストン・ヒューズがわたしにむかって話してくれているみたいな本。「それで?それで?」と話の続きを聞くみたいに読んでいます。

日本語版は古書店で見つけました。図書館にある可能性が高いです。わたしは英語版 Langston Hughes「I Wonder as I Wander: An Autobiographical Journey」をAmazonで購入。

 

■フジコ・ヘミング「フジコ・ヘミング14歳の夏休み絵日記」

戦争後すぐの東京は、こんなふうだったのだな。と思いながら途中まで読んで、これから残りを読む予定。

 

■アンナ・ポリトコフスカヤ(訳:鍛原多惠子)「ロシアン・ダイアリー 暗殺された女性記者の取材手帳」

著者は、ウクライナ系ソビエト連邦の外交官の両親のもとにニューヨークで生まれ、米国とロシア両方のパスポートを持つジャーナリスト。

プーチン大統領の一期目から二期目にかけて、2003年~2005年に書かれた日記です。

翌年モスクワの、自宅のある建物のエレベーターで射殺されてしまったので、これが最後。

本のまえがきに書かれているように、米国とヨーロッパにも拠点があり、望めばどこでも47歳で暗殺なんてされない場所で生きることもできたのに、なぜ?とわたしも思います。

でも読んでいくうちにだんだんわかるような気がしてくるの。

知らない名前や知らない事件をグーグル検索したり、地図を調べながら、やすみやすみ読んでいます。淡々とした文章です。

我が家のは英語版 Anna Politkovskaya(英語訳:Arch Tait)「A Russian Diary: A Journalist’s Final Account of Life, Corruption, and Death in Putin’s Russia」。

↓古書店でみつけ、はっ!と棚からひったくった1冊(お客わたしひとりだけど)。800円でした。

diary readers

 

本日のスペシャル

最近の1日1新:マスカットの香りのデカフェ紅茶、白桃の香りのデカフェ紅茶

高松のルピシアでみつけて、神奈川でも買えるけどそもそもお店に行かないし、思い出に買ったお茶っ葉です。味はデカフェだけど香りはうっとり。買ってよかったヽ(^。^)ノ

1日1冊:Anne Choma「Gentleman Jack」

 

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