趣味の会の帰り道、大学生のHさんと電車がいっしょになり、よもやま話を楽しんでいました。
Hさんがそれまでしてらした本の話を止めて、地下鉄の床を見ながらぽつりと言うのです。
「あの、翻訳小説を読むときは、英語の原書も見て、間違いを見つけたりするんですか」
わたしは最初、意味がよくわかりませんでした。でもすぐに、
(わたしが趣味で翻訳小説を読むときに、英語版と日本語版を照らし合わせて間違いがあるかどうかをチェックするのか、翻訳小説には間違いがあるのか、ということなのだな)
とわかりました。
「そんなことしませんよ~」
と笑顔で答えましたが、わたしは腹が立ちました。
いったいどこの誰がどういうひどいことをして、年若く心優しいHさんに、こんな心配をさせるのか。
こんな萎縮したことを考えさせるのか。
どこのどういう大人がどういう社会がこういうこと教えるの!?
大昔お世話になった重役秘書のIさんが、字幕翻訳の夜学コースに通っており、よく学校の話をしてくれました。
「2ちゃんねるに、戸田奈津子*の字幕の誤訳を語るスレッドがあってね、夜中に異常に盛り上がって怖いの」(*大御所な字幕翻訳家)
わたしはのけぞりました。まだ若かったわたしは
(もうできあがってる字幕の間違い探してる時間があったらとっとと自分で何かやりなよ時間のムダ・・)
と思いましたが、今はそういうスレッドが盛り上がる心理が理解できます。
おとなの英語学習の世界には、お互いを監視し合うみたいなところがあって、常に他者の評価にさらされていている印象を受けます。(もちろん楽しくポジティブな面が、たくさんあると思います)
それは英語という概念に、どれだけの権力と倫理的価値がくっついてくるかということなのですよね。
ふーやれ。
英語を話せるようになっても、もともと自分の内側に無いことは、話せません。
でも、自分の内側を豊かに多様にするために、英語はけっこう役に立つ。
英語学習の話は苦手でしたが、ブログ記事を書いてみたら興味深いので、また書きます。
本日のスペシャル
わたしの親友は昔、外資系企業で秘書をしていました。仕事は半日で終わらせ、ヒマなので新聞を読んだり株の勉強をしていました。
「あたしさ、すごく仕事が速いの。なぜかっていうとさ、ここの会社の人達は自分の英語がまちがってないかチェックするのに半日かけてる。あたしはそれをしない」
すばらしい!少々のたのた系だったわたしは感激しました。
友人はいまマネージャーになっており、夜型だけど毎朝8時から会議で激務です。がんばれ。
1日1新:自家製クリーム(オイル+みつろう+精油)
1日1冊: 丸山雅子「日本近代建築家列伝」、Ijeoma Oluo「So You Want to Talk About Race」、佐々木正悟「なぜ,仕事が予定どおりに終わらないのか?~『時間ない病』の特効薬!タスクシュート時間術」各少々 「なぜ、仕事が予定どおりに」はお風呂の中で読むリラックス用。