モヤモヤという言葉は、自分の気持ちの詳細を明らかにすることなく、違和感の存在だけをうったえる婉曲表現として、なかなか優秀で使えるヤツです。

だからわたし達は日々便利にモヤモヤ言っとるのだ。

外に向かって自分の感情を出さないこと、状況や相手によって開示レベルを調節することって、必要ですよね。

人間関係を円滑に保ちたい、自分(や自分の大切な人たち)の安全を守るため、めんどくさい状況を避けたい、仕事を増やさないため・・などなど。

どれも正当な理由です。なので、それはそれとして。

自分に対しては(あるいは安全に話ができる相手に対しては)どうでしょうか。

『モヤモヤ』で済まさなくてもいいのでは?

わたしはなるべくモヤモヤという言葉を使わないように意識しています。代わりになる言葉を探すと、自分の気持ちを認識できるから。明らかになるから。

自分の感情を特定しピンポイントに表現できると、心身の健康や対人関係などにおいて良い影響をおよぼすことが、さまざまな調査でわかっています。[注1]

(露骨にいえば、体調よくなる!メンタルよくなる!人間関係よくなる!ということです。本の帯の宣伝文句みたいで恥ずかしいですが事実なのでしかたない。。)

ところでわたし達がモヤモヤ言ってるときって、何が起こっているのでしょうか?辞書に訊いてみます。

「コトバンク」によると

ある思いや感情などが湧き起こったり、広がったりするさまを表わす語。また、心にわだかまりがあって、気持が乱れるさまを表わす語。多く、忌むべき感情などで気がむしゃくしゃするさまをいう。

忌むべき感情がそこにあるから、だからモヤモヤ広がりモヤモヤ乱れる。モヤモヤという言葉は、その様子を描写しているだけ。

そのモヤモヤがなくなるとどうなるか。Weblio類語辞書によると『モヤモヤが消える』は:

不満や怒りが消えて心地よいさま

モヤモヤっていろんな気持ちを網羅してるけど、コアな意味としては不満や怒りなんだ。

『モヤモヤが消える』の類語をさらにみていくと:

溜飲が下がる

とあります。『溜飲が下がる』の定義は:

不平・不満・恨みなど、胸のつかえがおりて、気が晴れる

なるほど不平ね。ふむふむ不満。恨み。

う、うらみ!?

(なんか新鮮な響きだ)

そういう感情は、あっていいのです。どんな感情も、あっていいのです。それが「忌むべき感情」であっても。

なんでも『モヤモヤ』に頼っていると、感情を表現するための言葉を使う機会ができません。

使わないボキャブラリーは、なかなかスムーズに出てこないので(って英語学習の話じゃありませんよ!)

感情を表現するボキャブラリーが豊かになると、自分の感情を特定しやすくなります。特定できると明らかになる。自分を知るってこういうことですね。

その『モヤモヤ』は、どの感情でしょうか。

 

name that emotion (4)

 

[注1]文献はわんさかありますが、おすすめをひとつ。塚原望「言語を用いた「感情表現」に関する研究の動向」

感情リテラシーと、感情を言語化するためのボキャブラリーに関する調査結果をまとめたもの。

こんな調査をしたら結果はこうだった、あんな調査をしたら結果はこう、というふうに教えてくれて、するする読めます。

記事のタイトルをクリックするとPDFをダウンロードできます。(わたしはPDFをkindleに入れて読んでいます。カンタン快適)

 

本日のスペシャル

わたしが初めて「モヤモヤ」という言葉を使うようになったのは、主治医である膵臓の専門医に出会ったとき。20年くらい?前のことです。

ドクターがいつも慢性膵炎の症状を “お腹のモヤモヤ” と話していたから。ほんのりだけどずっと続く吐き気。染み抜きしてもとれない染みみたいに広がる、焼けるような痛み。

ドクター、モヤモヤの使い方めっちゃ的確!センスある!わたしにとってモヤモヤは、お腹の状態を表すことばです。

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この記事の写真は、鶴岡八幡宮の手水舎で撮影しました。6月から7月にかけては紫陽花、その後は睡蓮のあしらい。愛す!

 

紫陽花バージョン

name that emotion (2)

 

睡蓮バージョン:写真をもっと見たい方は「水盤の蓮をどうぞ(睡蓮バージョン)」の記事にあります。

name that emotion

 

name that emotion (3)

 

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